
ギリシャ通貨の変遷と現在:ドラクマからユーロへ
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【古代から続くドラクマの歴史】
ギリシャの通貨「ドラクマ」は、紀元前6世紀の古代ギリシャで誕生した世界最古級の通貨です。アテネで流通した銀貨には女神アテナとフクロウが刻まれ、知恵と繁栄の象徴とされました。
ドラクマという名称は「握る」を意味するギリシャ語「drássomai」に由来し、金属塊を手で握る量を表していたと言われています。
【近代ギリシャとドラクマの復活】
1832年、ギリシャがオスマン帝国から独立した後、ドラクマは近代通貨として復活。1954年には新ドラクマが導入され、1ドル=30ドラクマの固定相場が採用されました。
しかし1973年のブレトン・ウッズ体制崩壊後、ドラクマは急速に価値を下げ、2000年には1ドル=約400ドラクマにまで下落しました。
【通貨にまつわる人物たち】
古代では通貨制度を整えたソロンや、アテネの繁栄を築いたペリクレスが重要人物です。近代では、ユーロ導入を推進したコンスタンティノス・シミティス元首相がギリシャ経済の近代化に貢献しました。
ドラクマ紙幣には、哲学者アリストテレスや政治家カポディストリアスなど、ギリシャの偉人たちが描かれていました。
【ユーロ導入と現在の通貨事情】
ギリシャは2001年にユーロ圏に加盟し、2002年からユーロが正式通貨となりました。導入時の為替レートは1ユーロ=340.75ドラクマ。
現在ではユーロ硬貨にも、古代ギリシャの意匠が施されており、1ユーロ硬貨にはアテナのフクロウが描かれています。
【ギリシャの物価と日本との比較】
ギリシャの物価は日本よりやや安く、外食は10〜15ユーロ程度。日本円で1万円は約60〜65ユーロに相当し、ギリシャでは数日分の食費や日用品をまかなえる感覚です。ただし、観光地では価格が高騰する傾向もあります。
【現在の経済と主要産業】
ギリシャ経済は観光業、海運業、農業が中心。観光業はGDPの約20%を占め、サントリーニ島やアテネは世界中からの観光客でにぎわいます。
ユーロ圏の一員として、ギリシャは欧州中央銀行の金融政策に従い、財政規律を維持しながら経済再建を進めています。
【豆知識:ドラクマの影響力】
ドラクマは、アラブ世界の「ディルハム」やアルメニアの「ドラム」など、他国の通貨名称にも影響を与えました。
また古代ローマ時代には労働者の1日分の賃金に相当する価値があり、聖書にも登場するほど広く認知されていました。
ギリシャの通貨は、歴史・文化・経済の変遷を映す鏡のような存在です。ドラクマの重みとユーロの安定性、その両方を知ることで、ギリシャという国の奥深さが見えてきますね😊🪙✨